JSR 日本蘇生学会

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代表理事あいさつ

代表理事
代表理事 畑中 哲生

 2020年11月より、前任の川前金幸教授から日本蘇生学会代表理事を引き継いだ救急救命九州研修所教授の畑中哲生と申します。

 本学会は麻酔科医が中心となって発足した学会です。発足当時、蘇生を含む救急医学はまだ独立した学問分野ではなく、外科や内科を含む種々の分野の医療従事者が協働・分担する領域でした。それら多分野からの医師の中で、麻酔科医は蘇生、特に心肺蘇生に最も身近な存在でした。その背景には麻酔科医が全身麻酔中、すなわち意識のない患者の呼吸・循環管理を担ってきた(残念なことに、当時は手術中の心停止が稀ではなかった)ことがあります。そんな麻酔科医の有志が集まって蘇生科学の探求と蘇生法の普及を目指したのが日本蘇生学会の原点です。

 その後、蘇生科学が長足の進歩を遂げる中で、蘇生には多職種・多分野の協働が必須であることが明らかになりました。多職種とは、看護師ほかのコメディカルをはじめ、病院前での救命処置と早期搬送を担当する救急隊を中心とした消防機関です。消防機関は日本赤十字社とともに市民への蘇生教育を担うという点でも重要です。

 多分野とは救急医はもとより、循環器医や脳神経外科・神経内科医、集中治療医をはじめとした集学的治療を意味します。かつて「蘇生」とは心拍再開を意味していましたが、現在の「蘇生」はそれにとどまらず、心拍再開後の全身機能の回復までを包含するようになり、ますます多分野の医療従事者の協働が必要になりました。「多分野」の中には基礎的研究も含まれます。臨床ガイドラインの整備が進む中で、そのエビデンスとして臨床研究の結果が重視されるのは当然のことではありますが、その一方で、動物実験などの基礎的な研究が取り上げられることがまれになってきている点には一抹の不安があります。臨床的ブレークスルーの多くは地道な基礎的研究から始まるからです。

 このような状況に対応するため、本学会では2019年に看護師部会と救急隊員・救急救命士部会を発足させるとともに、それぞれの部会から1名ずつを理事に選出しました。職域の拡大については、市民公開講座や心肺蘇生法普及動画コンテストを主催するなど、医学生や市民の関与を促進する試みも行っています。

 われわれ日本蘇生学会は学術集会での意見交換や論議だけではなく、また心肺停止の蘇生にとどまらず、市民社会と深く関わる中で、より一層多職種、多分野との協働活動をすすめ、心停止を含む重症病態の発生予防と迅速な社会復帰を成し遂げる専門家集団として活動し成長を続けたいと願っています。
 幅広い職域・分野からの皆様のご支援とご尽力をお願いします。

心肺蘇生法
普及動画コンテスト

心肺蘇生法普及動画コンテスト 一般の方にわかりやすく心肺蘇生法を広めることを目的とし、医系学生を対象とした「心肺蘇生法普及動画コンテスト」を開催しています。

2020年 東京オリンピック・パラリンピックに係る救急・災害医療体制を検討する学術連合体